インターネットが好きですと言って歩いていると、WEBマーケティングを語る人やマーケターを名乗る人たちにたくさん出会います。ネットを見ればキラキラした記事や謎のセミナーがたくさんあります。溢れ出るマーケターの多さを考えると、日本はまるでマーケティングネーションです。輝ける国、日本です。
それでは早速タイトルにある「WEBマーケティングとは」という話に入っていきたいと思います。昔のSEO大好きページが量産する「〇〇とは」のようなタイトルにしているのは、タイトルタグやH1タグをどうしろああしろのためではなく、単純に良い題名を思いつかなかったからです。結果としての「OK google, what’s web marketing?」です。
そもそもマーケティングとは何なのでしょうか?
この”マーケティングとは何か”という言葉自体がよく語られる言葉であると思います。ドラッカーの著書を読んだ人は「販売を不要にするプロセスである。」と言い、コトラーの本を読んだ人は「ビジネス上の一連のプロセスであり機能である。」と言う。ウィキペディアやグーグル検索が好きな人は、マーケティングを「顧客が求める商品を創造し、顧客にその価値を届けるための概念である。」と説明します。
有名な学者も権威と言われる方もキラキラマーケターの方も、それぞれ色々な言い方をします。要するにこれだけの解釈や説がある言葉を一言で説明するのは難しいということです。「時間とは何か?」「宇宙とは何か?」これらのワクワクするトピックスと似たような感覚です。
抽象化して解釈するのであれば、マーケティングとは”人や社会に対し、価値あるものを創造し提供する一連の活動、および付随する形態”であると言えます。そのため、ありがちなマーケティングという概念を説明する際のマウントの取り合いは、マーケティング大仏の手のひらの上でコロコロさせられている小競り合いにすぎません。
マーケティングとWEBマーケティングという言葉の違い
一般的に使われる場合のWEBマーケティングという言葉の意味はマーケティングそのものではなく、マーケティング的な感じを醸し出した人が発する、マーケティング活動をWEB上で行う手段を指すものです。WEBマーケターの方は通常キラキラしており、ブランディングやコンバージョンなどのカタカナ言葉を多用し、PDCAをクルクル回したり、ソーシャルメディアを活用してインフルエンサーをアサインしています。
つまり、マーケティングという上位階層の概念があり、その下層に位置しマーケティング活動をWEB上で表現することが”WEBマーケティング”です。マーケティング本来の概念は前述したように抽象的なものである一方、WEBマーケティングという言葉はより、具体的な行為、施策を指す場合が多いように思います。
WEBマーケティングを始めるために
ではWEBマーケティングを始めるためには何から手をつければ良いでしょうか。まずはWEB上で活動するためのなんらかの媒体となるものと、伝えるべき情報が必要です。前者はWEBサイトやTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSアカウント、ブログなど自社で管理できるWEB上のサービスであれば何でも良いと思います。後者はそう言った媒体となるHPやサービスを活用し、誰に何をどのように何のために伝えるかを決め、戦略的に情報を提供し、再現性のある方法で事後検証を行なっていくことができれば世に言うPDCAをクルクル回す行為の完成です。
WEBマーケティングのために、必ずしもHP制作をし自社運用しなければいけないということはないですし、インターネット広告を駆使し、認知の拡大や集客施策を展開しなければいけないわけではありません。Instagramで自社の写真とハッシュタグやコメントを駆使して、顧客となるターゲット層にアプローチできれば、HPや集客施策の実行がなくても立派なWEBマーケティングです。
株式会社OLLはWEBマーケティング会社と銘打っており、「HPを作り自社のブランド価値を高め、より多くの方に御社と御社のサービスをお伝えしましょう。」ですとか、「ビラやチラシなどの紙媒体だけでなく、動画や画像なども活用し、インターネットというメディアを通して広告を行い、新規のお客様にアピールしましょう。」などと言っており云々ですが、WEBマーケティングの展開方法は様々な形態があり、方法論には正解も不正解もありません。どのような形が現状ベスト、ベターで、目標に向けてどのように進んでいくかをじっくりお話をさせて頂いた上でご検討を頂ければ幸いです。
WEBマーケティングの実行手順
テレビCMを打ち、OOHの看板やデジタルサーネージをジャックし、WEBではYouTubeの動画やインフルエンサーによるSNSでの大拡散を仕掛けることができるのであれば、大手広告代理店のクリエイティブチームとプランナーによる素晴らしいマーケティング活動ができると思いますが、そうもいかない場合はこのような手順でWEBマーケティングをご検討いただき、実行してください。
- そもそもWEBを利用する必要があるかを再考する。
- 必要だとお考えの理由と不要だとお考えの理由を明確にする。
- どのようなターゲットに何をどのように伝えるかを考える。
- WEB上の媒体を決め、必要なコストとリソースを算出する。
- WEBマーケティング施策を選定し、適切に運用する。
- 実施した施策の検証を行い、効果・価値を評価する。
WEB制作会社や広告代理店の営業の方に「インターネットは基本である、やらないのは機会損失である。」と言われ、何かやらなくてはいけないという勢いで突き進まないように、ゆっくりと余裕をお持ちになってからご決断ください。「ドッグイヤーだ、他社もやってるから遅れてはいけない。」と言われても、準備をしてほど良いタイミングで実施すれば全く問題ありません。人間はもっとゆっくり生きています。
もちろんテクノロジーは日進月歩です。もしくは1時間後に素晴らしい技術やサービスの革新があるかもしれません。しかし、最先端の技術の導入や実行は必ずしも全ての事業体で先を争って行う必要もなく、活用方法やビジネスにもたらすインパクトも異なります。その意味で、適切なタイミングで適度なプランを導入してください。
外注せずにWEBマーケティングを内製化することも可能です。プロモーションなどはインハウスでの運用とし、広告代理店などに任せていた仕事を社内のご担当者が実施する場合もあります。HPについてもwixやJimdoなどを利用し、ご自身で作成する場合もあります。社内のリソースや情報感度、運用や更新のコストを考慮し、目的を達成するためには外注と内製のどちらが適切かもご判断をしてください。
WEBマーケティング施策の判断
施策の結果は”WEBマーケティングだから数値に現れ、すべてが数値的根拠をもとに検証・判断可能”とお考えの方もいらっしゃいますが、WEB上の行動データがすべてではなく人は様々な情報に複数の方法で接触し、様々な感情や思いを巡らし意思決定を行います。現段階では施策を数字だけで判断し数値的根拠に過度に依存するのはデータの取得や分析という面においてまだ早いと考えています。
カスタマージャーニーやペルソナを設定し、プランを検討・検証するのであれば、見えないところ、わからないところがたくさんある中での一部の判断基準となる仮定であるという認識を持って頂き、その上で数値データと合わせて意思決定をしていくのが中長期的なビジネスの安定につながるのではないでしょうか。
また、マーケティングオートメーションやAIという言葉はよく耳にするかもしれませんが、もう少し先の時代、AIが進化して人ではできないような根拠で効率的に判断する時代になるまではもう少し時間がかかるのではと考えています。
遠くない将来にAIが学習するためのデータ取得、取得範囲、それを検証し完璧に判断を下すことができる時代が来た時にはWEBマーケティングという言葉はなくなり、マーケティングというものに概念ごと吸収されているかもしれません。
WEBマーケティングの施策はどのようなものがあるのか
最後にWEBマーケティングの一般的な施策をご紹介致します。繰り返しになりますが、WEB上でマーケティング活動を実施する手段ですので優劣やメリット・デメリットはその時々の状況や実行手順、運用内容により変化します。過去に実施した施策が何かしらの不具合により本来の効果を発揮できていない場合も考えられます。
リスティング広告
GoogleやYahoo!で検索を行う際に、調べた検索キーワードに関連した広告を表示することができます。検索者の意図に合わせて連動した広告を表示することができるためダイレクトレスポンスに適した広告手法となります。WEBマーケティング導入の最初の一歩としてだけではなく、広告設定キーワードの設定意図や運用方針によっては様々な段階で効果を発揮する広告です。
画像広告
GoogleやYahoo!などのディスプレイネットワークにおいて、関連するWEBサイトや興味・関心がある訪問者に対し、画像の広告(バナー広告)を表示することができます。テキストでの訴求だけでなく画像での訴求を行うことができるので、商品やサービスのイメージをより印象深く伝えることができます。
動画広告
画像広告と同様に様々なWEBサイトに動画の広告を表示することができます。さらに、YouTubeなどの動画サイトで広告動画を閲覧してもらい、画像よりもさらに深く広く訴求することが可能です。動画においてもダイレクトレスポンスからブランディングまで様々な方針での配信に効果的です。
SNS広告
FacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルネットワークにも広告を配信することができます。WEBサイトなどに送客するだけでなく、いいねやフォロワーを増やしエンゲージメントを獲得するために利用される場合もあり、中長期的な視点での運用にも向いています。また、画像だけではなく動画や既に投稿した内容を広告として配信することもできるので、戦略的な展開が可能です。
ネイティブアド
ペイパブや記事広告と一緒に考えられるケースも多く、ネイティブアドという言葉の使われ方が誤解されていることも多いですが、ここでは”WEBサイトに直接送客をせずに記事へ遷移させることで理解を高め、態度変容をしてもらうための広告”とします。通常の広告では伝えきれない内容や顧客モチベーションを高めるために活用され、顧客転換後の価値を高めるためにも有効です。
※注:ペイパブや記事広告は記事の制作料と掲載料をメディアに払う広告です。ネイティブアドの本来の意味は、広告枠のあるメディアに溶け込み違和感のないように表示する広告フォーマットを指します。
ショッピング広告
商品をデータフィードという形で設定し画像と説明文を表示させるEC事業者向けの広告です。リスティング広告と同様に検索結果ページに広告が表示されるため、ネットで商品を探している人を送客することができます。ネットでショッピングサイトを運営されているのであれば顧客の購買活動にむけて重要な広告となります。
SEO
いわゆる検索結果の上位に表示されるために行う一連の施策です。GoogleやYahoo!で検索をした際に検索結果ページの上位に表示されるということは、広告ではなく自然にWEBサイトへの送客数が増え、上位に表示されている信頼面においてのブランディング、購買活動や問い合わせの増加などのダイレクトな効果、メディアとしての集客力のUPなど、多大なメリットがあります。
上位表示を行うにはGoogleが定める方針やロジックに沿って適切なコンテンツを用意する必要があります。そのためSEO業者はコンテンツマーケティングという手法で強化を図ったり、コンサルティングなどの提案を行います。しかし、上位表示のためにグレーな手段やGoogleが禁止をしている手法(ブラックハットSEO)での施策を展開する業者もあり、施策の導入には十分な注意が必要です。
WEB解析
GoogleAnalyticsなどのサイト解析ツールを設定し、訪問者の行動を解析し問題点や改善点を発見することができます。また、ランディングページを改善するLPO、フォームを改善するEFOなどの訪問者の行動改善は訪問者へのおもてなしとしての接客改善にもつながります。WEB解析で得られた根拠はWEBマーケティングの効果検証や次の施策展開の判断に役立ちます。
上記の分類方法は今回の記事に合わせて分類しています。WEBマーケティングの手法として他にも様々な方法や商品、プラットフォームがあります。メルマガやアフィリエイト、チャットボットの活用などもそうですし、データを利用した広告の配信システムであるDMPやDSPの活用も含まれてくると思います。自社ブログや自社SNSなどをオウンドメディアとして運営することも含め、これからも様々な新しい手法が生まれていくでしょう。
株式会社OLLでは、技術の進歩とともにWEBマーケティングをマーケティングの一環として、それぞれのビジネスや事業者の方が活用するために少しでもお役に立つことができれば幸いです。ご不明点やご質問などございましたら、お問い合わせよりご連絡を頂戴できればと存じます。
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